ビタミン
ビタミンは人の体では作り出せませんが、健康の維持には欠かすことのできない微量栄養素をいいます。ビタミンは、体内のさまざまな代謝に関わり、生体の機能を正常に保つために重要な栄養素です。
ビタミンの働きとして、従来より、代謝調節作用や補酵素作用が知られています。一方、栄養素としての働き以外にも、ビタミンが抗酸化作用や細胞間情報伝達作用などをもつことがわかってきました。そのため、適量のビタミンを摂取することは、単にビタミンの欠乏症を予防するだけではなく、健康を維持・増進し、病気の予防に効果的であるとして注目されています。
ミネラル
ミネラルは人の体の中でさまざまな代謝機能を担う必須栄養素の1つです。3大栄養素(タンパク質、脂質、炭水化物)に加えて、ビタミンやミネラルといった微量必須栄養素が共同して働くことで体が正常に機能します。いわば、ミネラルは「体の潤滑油」です。
ミネラルの働きは、無機質として、人体の構成要素となることや、代謝に関わる酵素の機能維持に必須の成分としての機能などです。
ファイトケミカル
ファイトケミカルとは、植物由来の抗酸化栄養素の総称です。
ファイト(phyto)とはギリシャ語で植物、ケミカル(chemical)は化学分子という意味です。
各種ビタミンの効能
ビタミンA(サプリメント)
・皮膚や粘膜の状態を正常に保ち、免疫や生殖の機能にも関係する。
・目の網膜に含まれるロドプシンの構成成分であり、欠乏すると夜盲症になる。
・βカロチンはビタミンAの前駆体(プロビタミン)である。
・皮膚や粘膜の機能維持、免疫機能や生殖機能の維持、網膜の機能維持。
ビタミンB群(サプリメント)
・ビタミンB群とは、B1、B2、ナイアシン、B6、パントテン酸、ビオチン、葉酸、B12の8種類をさす。
・水溶性ビタミンであり、糖代謝や脂質代謝に関与する。
・ビタミンB群摂取による疲労回復効果、妊婦の葉酸摂取による胎児の神経管障害予防効果などが良く知られている。
・ビタミンB群としてまとめて摂るサプリメントが多い。
・B郡に分類される個別のビタミン類には、疲労回復、皮膚や粘膜の健康維持、糖代謝や脂質代謝の正常化、神経系への作用など多くの効果が認められている。
ビタミンB群(化学物質名):効果
ビタミンB1(チアミン):糖代謝の促進や神経機能の維持。
ビタミンB2(リボフラビン):フラビン酵素の成分。皮膚や口腔粘膜の機能維持。脂質代謝に関与。
ナイアシン(ニコチン酸、ニコチン酸アミド):酸化還元酵素に関与する補酵素の成分。
ビタミンB6(ピリドキシン):タンパク質・脂質代謝に関与、神経伝達物質(ギャバ)の合成に関与。月経前症候群(PMS)に伴う症状の改善。つわりの改善。小児に見られるある種の痙攣発作の改善。
パントテン酸(パントテン酸):タンパク質・糖質・脂質代謝に関与する酵素の成分。
ビオチン(ビオチン):糖新生の促進。アミノ酸代謝や脂肪酸合成の促進。
葉酸(プテロイルグルタミン酸):タンパク質合成に関与。赤血球の産生。神経細胞の促進。胎児の神経管欠損症の予防(妊娠初期に妊婦が摂取する)。
ビタミンB12(コバラミン):赤血球の産生に必要。神経細胞の機能維持。脂質やアミノ酸の代謝に関与。
ビタミンC(サプリメント)
・水溶性ビタミンの一種であり、抗酸化作用が注目されている。
・ある種の癌、動脈硬化性疾患、循環不全など多くの疾患に対する効果が示されている。
・健康の維持増進および疾患の予防という点から、生命活動において重要な生産活性物質といえる。
・美白・美肌・シミの予防といった効果を持つ栄養素、あるいは、風邪や癌、動脈硬化性疾患に対する効果をもつビタミンとして注目されている。
・風の初期における治療効果。上部消化管(食道・胃)の癌や、乳癌の発症リスク抑制。高血圧の予防と改善。胆嚢疾患の発症リスク抑制。女性の末梢循環不全の改善。結合組織であるコラーゲン合成への作用。鉄・銅代謝の調節作用。越の吸収促進。
・ビタミンCは、タンパク質の一種であるコラーゲンの合成を促進する。コラーゲンは、骨や皮膚などの結合組織の構成成分であり、細胞の成長と修復に重要である。また、抗ストレスホルモンである副腎皮質ホルモンの合成にも必要な成分であり、ストレスが多いと消費される。さらに、喫煙者ではビタミンCが多く消費される。
ビタミンD(サプリメント)
・カルシウムの代謝調節に欠かせない脂溶性ビタミン。
・小腸においてカルシウムとリンの吸収を促進する。
・骨や皮膚の健康維持や病態の改善に効果が認められている。
・消化管からのカルシウムとリンの吸収の促進。骨からのカルシウムの動員。骨へのカルシウムの沈着促進。骨の再構成・形成の促進。腎臓におけるカルシウムとリンの再吸収の促進。
・体内に吸収されたビタミンDは、肝臓や腎臓で活性型ビタミンDに変化する。人の皮膚にはプロビタミンD3が存在し、紫外線の作用でビタミンDに転換される。
ビタミンE(サプリメント)
・代表的な抗酸化ビタミンであり、生活習慣病の予防効果が期待される。
・細胞膜を正常に維持し、活性酸素による障害を防ぐ。
・サプリメントではαトコフェロールが主成分。
・細胞膜の機能維持。抗酸化作用。脂質過酸化の予防・改善。ある種の癌や神経疾患の予防および改善。
・ビタミンEは体内では細胞膜に局在し、活性酸素による酸化障害から細胞を守る。また、脂質構成成分の酸化を予防する。
ビタミンK(サプリメント)
・脂溶性ビタミンの一種であり、血液凝固と骨代謝に関与する。
・肝臓での血液凝固因子の合成に必要な補酵素として作用する。
・カルシウムを骨に取り込む作用をもつオステオカルシンの合成にも必要である。
・血液凝固作用の維持・調節。カルシウム代謝の調節・骨粗しょう症の予防効果。
・血液が凝固するためには、肝臓において合成される血液凝固因子が必要となる。
生活習慣や自覚症状に応じてサプリメントの利用が必要と考えられるビタミン
各種ミネラルの効能
亜鉛(Zn)(サプリメント)
・亜鉛不足による味覚障害が若年層で増加している。
・免疫力を高めることで風邪を早く治す効果がある。
・性腺機能に必須であり、セックスミネラルともいわれる。
・亜鉛は、味覚や嗅覚、免疫機能、性腺機能、アルコールの代謝など様々な機能を正常に保つために必要な微量元素(ミネラル)の1つである。
・亜鉛が不足すると、味覚障害や、免疫力の低下、うつ状態、皮膚疾患などを生じる。
・亜鉛を摂取していると、風邪にかかったときに早く回復することが知られている。また、男性不妊症、糖尿病、関節リウマチ、味覚障害の予防や治療にも用いられる。
・味覚障害の予防・改善。男性の性腺機能を正常に維持。免疫力を高め、風邪の罹病期間を短くする。
・亜鉛は舌に存在する味蕾(みらい)という細胞分裂を促し、味覚を正常に保つ作用をもつ。
カルシウム(Ca)(サプリメント)
・骨や歯に多く存在する主要なミネラル。
・神経細胞などのさまざまな組織の活動にも重要。
・日本人はカルシウムの所要量を満たしていない。
・骨粗しょう症および骨折の予防。月経前症候群(PMS)に伴る症状の緩和。閉経後の骨粗しょう症の治療。腎臓病患者におけるリンや甲状腺ホルモン代謝代謝の調節。
クロム(Cr)(サプリメント)
・糖代謝や脂質代謝において重要な必須微量元素の1つ。
・2型糖尿病患者において耐糖能異常を改善する。
・糖代謝異常(2型糖尿病)や脂質代謝異常(高脂血症)に対して用いられる。
・2型糖尿病における耐糖能異常の改善およびインスリン抵抗性の改善。脂質代謝異常の改善。
セレン(Se)(サプリメント)
・体内の抗酸化酵素の働きに必要なミネラル。
・抗酸化作用をもつため、癌などの生活習慣病に対する効果が期待される。
・過剰摂取に注意する。
・抗酸化作用。前立腺癌に対する抑制効果。抗酸化作用による抗がん作用。
鉄(Fe)(サプリメント)
・赤血球のヘモグロビンを構成する因子であり、酸素の運搬を担う。
・月経のある年代の女性では、鉄欠乏性貧血の予防や改善のために利用する。
・過剰の鉄は好ましくないため、必要以上には摂取しない。
・月経の出血で鉄が失われる女性では、鉄が不足しないように注意する。ただし、過剰の鉄分は活性酸素による障害と相関することがしられており必要以上の接種は好ましくない。一般に、男性や閉経後の女性では鉄が不足することは少ない。
・鉄欠乏性貧血の予防と改善。鉄欠乏の小児に見られる高次機能障害の改善。腎不全患者における造血因子製剤の効果促進。
・鉄は赤血球のヘモグロビンを構成する因子であり、酸素を運搬する機能を持つ。また、鉄の一部は筋肉中にミオグロビンとして存在し、筋肉における酸素の運搬や体内の酸化・還元反応に関与している。
銅(Cu)(サプリメント)
・微量元素の1つであり、糖代謝や脂質代謝に関与する。
・赤血球中のヘモグロビン合成過程における鉄の利用に必要である。
・銅が欠乏すると高コレステロール血症を生じるため、脂質代謝での役割が注目。
・鉄利用の促進による貧血の予防。関節炎の緩和。高コレステロール血症の予防。
マグネシウム(Mg)(サプリメント)
・ミネラルの1つであり、その半分は骨に存在する。
・さまざまな酵素反応に関与し、細胞内電解質の調整を行う。
・骨の健康維持のため、カルシウムと一緒に摂ることが好ましい。
・細胞内の電解質のバランスを保つためにも重要な役割を果たしている。保健効果として、虚血性心疾患のリスクを抑えることなどが報告されている。
・高コレステロール血症、心疾患などの生活習慣病に対する効果。腎臓結石(カルシウム石)の予防効果。月経前症候群(PMS)に伴う症状の予防。妊娠時に生じる下肢痙攣の治療。
モリブデン(Mo)(サプリメント)
・必須微量元素の1つであり、肝臓や腎臓に存在する。
・鉄の利用や銅の排泄を促進する作用をもつ。
・抗ガン作用を示唆するデータが報告されている。
・鉄利用の促進による貧血の予防。抗ガン作用。ウィルソン病に対する治療効果。
・モリブデンは酸化酵素の触媒となる酵素の成分である。また、亜硝酸を解毒する作用や、銅の排泄を促進する作用などをもつ。
ヨウ素(I)(サプリメント)
・甲状腺ホルモンの構成成分として重要な必須ミネラル。
・世界各地でヨウ素欠乏による疾患がは初しているが日本では稀。
・ヨウ素の欠乏あるいは過剰によって甲状腺の腺腫(肥大)が生じる。
・ヨウ素は甲状腺ホルモンの構成成分となるミネラルであり、甲状腺に集積する性質を持つ。昆布やワカメなどの海藻類に多く含まれている栄養素である。
・甲状腺ホルモンの構成要素として、正常な代謝に関与する。
・摂取されたヨウ素は、腸管から吸収され尿中に排泄される。
リン(P)(サプリメント)
・ミネラルの1つであり、多くはリン酸カルシウムの形で骨に存在する。
・有酸素運動におけるパフォーマンスの向上や、腎臓結石の予防といった効果がある。
・通常の生活でリンが不足することは少ない。
・リンは細胞膜の構成成分として重要であり、物質の輸送やエネルギー貯蔵に関与する。血液や間質液におけるバッファーとしても重要な役割を果たしている。
ナトリウム(Na)(サプリメント)
・細胞の浸透圧を調節し、細胞レベルでの機能に関与。
・酸アルカリバランスや水分の調節に関与。
・塩の成分である。
カリウム(K)(サプリメント)
・神経や筋肉の機能の調節。
・ナトリウムに拮抗して血圧を下げる。
マンガン(Mn)(サプリメント)
・骨代謝、肝臓での物質代謝に関与。
・1日の許容上限摂取量(対象年齢18~49歳)は10mg。
各種ファイトケミカルの効能
青汁(サプリメント)
・ケールや大麦若葉といった緑黄色野菜の搾り汁が主成分。
・抗酸化作用や免疫賦活作用によって生活習慣病を予防。
・抗酸化作用による生活習慣病の予防と改善。脂質代謝改善作用。免疫賦活作用。便通改善作用。
赤ワインエキス(サプリメント)
・赤ワインの抗酸化栄養素が活性酸素による障害を防ぐ。
・悪玉コレステロールの酸化を抑え、動脈硬化を予防する。
・心臓病(心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患)予防。
アミノ酸(サプリメント)
・BCAA(分岐鎖アミノ酸):筋肉の増強、タンパク質同化。
・アラニン:アルコール分解促進、肝臓の保護。
・グルタミン:消化管粘膜生成促進。
・アルギニン:免疫賦活作用、肝臓の保護。
アロエ(サプリメント)
・胃粘膜保護作用や胃潰瘍の改善効果をもつ。
・糖尿病の予防と改善作用。
・抗酸化作用、抗炎症作用、抗ガン作用、肝障害抑制作用。
EPA(サプリメント)
・エイコサペンタエン酸(EPA)はドコサヘキサエン酸(DHA)とともに魚油に多く含まれる多価不飽和脂肪酸の1つ。
・血液を固まりにくくして血栓症を予防する作用。
・高脂血症を改善し生活習慣を予防する作用。
・精神神経症状を改善する(気分を改善する)作用。
・動脈硬化の改善。
イチョウ葉エキス(サプリメント)
・アルツハイマー型痴呆に伴う症状の改善。
・脳血管性痴呆に伴う症状の改善。
・間欠性跛行(かんけつせいはこう)など末梢神経障害の改善。
・高血圧改善作用。
・脳梗塞慢性期の血流改善。
・記憶障害の改善。
・抗ストレス作用。抗酸化作用。
・正常眼圧緑内障の視野欠損改善。
梅エキス(サプリメント)
・血小板凝集を抑制し、血液循環を改善する。
・有効成分のムメフラールは梅干しや梅酒には存在しない。
・疲労回復効果のあるクエン酸も含まれる。
エキナセア(サプリメント)
・エキナセアは、北米原産のハーブである。
・風邪症候群やインフルエンザの症状緩和と罹病期間短縮。
・ヘルペスなどのウイルス感染症に対する効果。
・カンジタなどの真菌症に対する効果。
エノキタケ(サプリメント)
・癌の予防や治療効果。
・免疫賦活作用。
・肝障害の予防効果。
・抗酸化作用。
カテキン(サプリメント)
・緑茶に含まれるポリフェノールの一種。
・抗酸化作用。
・胃粘膜保護作用。
・脂質過酸化抑制作用。
・抗肥満作用。
・高脂血症改善作用。
・口内炎予防作用。
・抗ガン作用(食道ガン、胃ガン、膵臓ガン、膀胱ガンなど)。
カルニチン(サプリメント)
・運動による体脂肪減少の増強作用。
・慢性心不全および虚血性心疾患(心筋梗塞や狭心症)における症状の改善。
・慢性心不全による人工透析患者での貧血改善。
・アルツハイマー病の改善。
・脳の認知機能障害の改善。
ガンマ・リノレン酸(GLA)(サプリメント)
・アトピー性皮膚炎の症状改善。
・糖尿病性神経障害の改善。
・関節リウマチの改善。
キャッツクロー(サプリメント)
・南米ペルー原産のハーブ。
・関節リウマチや変形性関節症の痛みの緩和。
・抗炎症・鎮痛作用。
・抗酸化作用や免疫賦活作用。
クエン酸(サプリメント)
・疲労物質の乳酸を減らして疲労を回復する。
・カルシウムなどミネラル類の吸収を促進する。
・耳下腺ホルモン・バロチンの分泌を促す。
クロレラ(サプリメント)
・淡水産の藻類の一種であり、さまざまな栄養素が豊富。
・タンパク質やアミノ酸の割合が多い。
・ビタミン類やミネラル類、葉緑素、脂質も豊富。
・抗酸化作用。
・高脂血症や高血圧の改善。糖尿病の予防効果。
コエンザイムQ10(サプリメント)
・細胞や組織の活動を担うエネルギー源産生に必須の成分。
・狭心症や心筋梗塞、心不全などに対する予防や改善効果。
・高血圧や糖尿病などの予防や改善作用。
・抗酸化作用および抗ガン作用。
DHA(サプリメント)
・ドコサヘキサエン酸(DHA)とは、エイコサペンタエン酸(EPA)とともに魚油に多く含まれる多価不飽和脂肪酸の1つである。
・高脂血症を改善し生活習慣病を予防。
・ストレスの多い状態で生じる攻撃的な行動を改善。
・記憶や学習能力の改善。
・抗アレルギー・抗炎症作用。
・老人性痴呆の改善作用。
・未熟児における視力・視覚機能の発達を促進。
ナットウキナーゼ(サプリメント)
・ナットウキナーゼは、納豆に含まれる血栓溶解酵素。
・脳梗塞・脳塞栓症予防作用。
・血小板凝固抑制作用。
・血液流動性改善作用。
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